養育費の支払いを途中で拒否された場合

養育費の支払いを途中で拒否された場合

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養育費

目次

  1. 養育費が途中で支払われなくなった、拒否された場合
  2. 差し押さえに必要な3つのこと
  3. 差し押さえに必要な書類と流れ

みなさんは、離婚時に養育費の取決めを行いましたか?

取決めを行っていても、数回支払っただけで、支払わなくなったケースは珍しくありません。

厚生労働省の調査によると、離婚時に取決めを行ったのは、約4割となっています。そのうち、取決めに関する文書を作成している方は、約7割です。驚くべきことに、文書を作成した方で、一度でも支払いがあったのは約4割、継続的な支払いがあるのは、たった約2割となっています。さらに、文書があっても、一度も養育費を受け取れていない方が約4割もいらっしゃいます。

今回は、養育費の支払いを拒否された際の対処法をご紹介します。

養育費が途中で支払われなくなった、拒否された場合

離婚時に養育費の支払いを取り決めた国が公的に認めた文書「債務名義」がある場合には、調停をせずにすぐに相手の財産や給料を差し押さえることができます。「債務名義」があれば、相手の資産や給与を強制執行、差し押さえをすることにより、養育費を強制的に支払わせることができます。以下の文書が「債務名義」になりえます。

  • 公正証書(強制執行認諾文言付き)
  • 確定判決(離婚訴訟などの判決で養育費が決まった場合の文書)
  • 和解調(訴訟上の和解によって養育費を決めた場合の文書)

口頭のみで養育費の取決めをし、文書を作成せず、上記のような「債務名義」がない場合には、家庭裁判所で「養育費調停」を申し立てる必要があります。

差し押さえに必要な3つのこと

養育費の差し押さえにあたっては、次の3つの条件が必要となります。

債務名義と送達証明書があること

強制執行を、差し押さえをするためには、「債務名義」が必要です(民事執行法22条)。次に、「送達証明書」が必要ですが、これは、債務名義が債務者に送達されたことを証明する文書です。強制執行は、債権者の申し立てによって行われる手続きですから、債務者に対して、どのような債務名義に基づいて行われるのかを知らせ、反論の機会を与えるために送達証明書が必要となります。
送達証明書は、公正証書の場合は公証役場、判決や調停調書など、裁判所作成の文書の場合は管轄の裁判所に対して申請することで取得できます。

相手の住所が判明していること

裁判所が発する差押命令は、債務者にも送達する必要があります。したがって、差し押さえを行うにあたっては、債務者(養育費を支払う側の人)の現在の住所を把握していなければなりません。
債務者の住所が分からない場合は、戸籍の附票や、住民票を取り寄せるなどして、調査することができます。

差し押さえ対象となる財産を把握していること

差し押さえという方法は、債務者の財産を強制的に取り上げて債権者に渡すというものなので、その財産を特定しなければなりません。
国や裁判所などが、債務者の財産を調査するわけではありません。債権者側が財産を見つけなければならないのです。
差し押さえの対象となる財産は、動産不動産債権の3つです。

  • 動産
    不動産以外の物です。たとえば、車や宝石、絵画などです。
  • 不動産
    土地や建物のことです。債務者名義の家があれば、差押対象財産となりえます。
  • 債権
    債務者が第三者からお金を払ってもらえる権利のことです。会社に勤めている場合、会社から債務者に支払われる給与債権があるので、これが差し押さえ対象財産となります。給与の差し押さえは原則的には給与の4分の1までしかできませんが、養育費については給与の2分の1まで差し押さえができます。また、債務者が銀行にお金を預けている場合、銀行からお金を返してもらえる権利である預金債権を持っていますので、これが差し押さえ対象財産となります。

その他にも、現金、生命保険、投資信託、株式なども差し押さえ対象財産となります。
ただし、離婚後に債務者が転職をしていて、現在の勤務先が分からなかったり、預金口座を解約していたりして、財産がわからない場合には、財産を探す必要があります。
それが、財産開示という制度です。2020年4月1日から施行された民事執行法の改正によって、今までよりも活用しやすい制度となりました。金融機関からの預貯金情報の取得、登記所からの不動産情報の取得、市町村等からの勤務先情報の取得等が可能になりました。

また、生命保険の解約返戻金請求権についても、実は差し押さえの対象となります。これを差し押さえた債権者は、生命保険の解約権を行使することができます。
生命保険の解約返戻金請求権について差し押さえをした債権者は、実際に生命保険を解釈する権限についても判例上認められています。
ただし、離婚後は生命保険証券が相手の手元にあることがほとんどでしょうから、どのような保険に入っているのかを特定することが難しいかもしれません。

以上3つの条件を踏まえた上で、裁判所を通じて差し押さえの申し立てを行います。

差し押さえに必要な書類と流れ

裁判所を通じての差し押さえをする場合の流れとしては、まずは差し押さえの申し立てを行います。申し立てに必要な書類は以下となります。

【 申し立てに必要な書類 】

  • 申立書
  • 債務名義の正本
  • 執行文(債務名義の種類によっては不要)
  • 送達証明書
  • 資格証明書
  • 申立手数料(収入印紙)

申し立て後、裁判所が債権差押命令をだし、債務者(養育費を支払う側)と、銀行などの第三債務者(差し押さえの対象になっている債権の債務者)に送達されます。その後、きちんと届いたかどうか、裁判所から申立人に通知がきます。

そして、第三債務者が、差し押さえの対象となっている財産の有無(陳述書)を裁判所へ返送します。

差し押さえ債権があった場合

第三債務者から直接取り立てることもできますが、第三債務者が供託所に債権を供託した場合には、裁判所で弁済金交付手続を行います。供託とは、供託所(国の機関)に、その財産の処分が決まるまで財産を渡し、管理してもらうことです。

債権者があなた以外にもいた場合、第三債務者は、今回差し押さえられた債権を供託しなければなりません。その後、裁判所において配当手続きが行われ、支払いを受けることができます。

差押債権がなかった場合

差押命令が発せられたものの、第三債務者が債務者に対する債務を負っていなかった場合(たとえば、預金の残高がない、職場をすでに退職していたような場合)には、差し押さえは失敗となります。ほかの財産を差し押さえる、時期を変えるなどの方法をとる必要があるでしょう。

差し押さえができないケース
行方不明の場合

先に説明したように、差し押さえをするにあたっては、債務者の現在の住所を把握しておく必要があります。
債務者の居場所が分からず、そのために債務者の財産を調べることもできないというような場合には、差し押さえは困難となります。
債務者の行方は分からないものの、不動産や預貯金など、債務者名義の財産のありかは分かっているというような場合には、「不在者財産管理人」などの制度を利用した差し押さえも検討する必要があります。

養育費は子供の権利です。残念ながら、せっかく養育費の取決めをしても、その後の支払いが途中で止まってしまうことは珍しいことではありません。さらに、養育費には時効も存在します。養育費の未払いで差し押さえをすることは、労力が必要で、ひとり親の方への負担も相当なものになるでしょう。

養育費の未払いを未然に防ぐためにも、取決め後すぐに養育費保証を利用することをおすすめします。

養育費保証のミライネ」では、養育費を継続的に受け取るためのプランだけではなく、未払いでお困りの方の集金をサポートするプランも用意しております。養育費に関して、お悩みの方はぜひ一度お問い合わせください。

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